板金加工で伸び補正が必要な理由
板金展開データの基礎
SOLIDWORKSで展開図は作れます。ただし、加工条件に合う補正が必要です
板金部品をレーザ切断するには、曲げる前の平らな形状を表す展開データが必要です。SOLIDWORKSなどの3D CADには展開機能がありますが、実際の曲げ加工で狙った寸法に仕上げるには、材質、板厚、曲げ角度、内R、金型などに合わせた伸び補正が欠かせません。
ヤマナカで製作する部品については、曲げ後の形状と加工条件を確認し、伸び補正を反映した展開データの作成から曲げ加工まで対応します。
展開図は、曲げる前の材料形状です
曲げ加工後の立体形状を、一枚の板として平面に戻したものが展開図です。レーザ切断では、この外形、穴、曲げ線などをもとに材料を切り出します。
形を平らにするだけではなく、曲げたときに生じる材料の伸び・縮みを展開寸法へ反映することが重要です。
曲げると、外側は伸び、内側は縮みます
板材を曲げると、曲げの外側には引張り、内側には圧縮が生じます。その中間には、長さの変化が小さい中立軸があります。この変化を考慮せずに展開寸法を決めると、曲げ後の全長や穴位置が狙いからずれることがあります。
外側引張られて伸びる
内側圧縮されて縮む
中立軸長さの変化が小さい位置
この伸び・縮みを展開寸法へ反映するために使う値が、伸び補正値(現場でいう伸び値)です。
伸び補正値は、加工条件によって変わります
同じ90度曲げでも、次の条件が変われば補正値は同じとは限りません。CAD側の設定と、実際に使う材料・加工機・金型の条件を合わせる必要があります。
- 材質鉄、ステンレス、アルミなど
- 板厚材料の厚さ
- 曲げ角度90度曲げ、鋭角曲げなど
- 内R曲げ内側の半径
- 金型パンチ形状、ダイのV幅など
補正値は、実際の加工実績や試し曲げの結果も踏まえて調整します。CADで自動展開できることと、実加工に合う展開寸法を作れることは、同じではありません。
加工条件を入れ、曲げ動作もシミュレーションします
展開寸法だけでなく、曲げ順、金型、部品と機械の干渉も確認します。複数回の曲げがある部品では、途中まで曲げた形状が次の曲げで機械や金型に当たらないかを見ることも重要です。
- 画面の設定例
- 材質:SS400
- 板厚:6.0mm
- 内R:8.0mm
- 曲げ角度:90度
- 伸び値:5.91
ここに表示した5.91は、この部品・材質・板厚・内R・金型条件に対する設定例です。ほかの部品や加工条件へそのまま使える共通値ではありません。
展開データと現場の曲げ条件をつなぎます
- 形状を確認図面や3Dデータから曲げ位置と完成寸法を確認します。
- 加工条件を設定材質、板厚、角度、内R、金型に合わせて補正条件を決めます。
- 展開と曲げ順を確認展開データを作成し、曲げ順や干渉をシミュレーションします。
- 切断・曲げ加工設定した展開データと加工条件を使って製作します。
展開データや曲げ加工の相談時にあるとよい情報
- 曲げ後の形状が分かるPDF図面、STEP/STP、SOLIDWORKSデータのいずれか
- 材質、板厚、曲げ角度、内R、数量
- 特に合わせたい外寸、穴位置、取付寸法
- 希望納期、仕上げ、図面変更の可否
ヤマナカで製作する部品について、展開データの準備を含めて相談できます。資料がすべてそろっていない場合も、分かる範囲から確認します。
